症状2. ブレーカーが落ちる

2-1.オーブンの電源を入れるとブレーカーが落ちる

第一の原因として、主にスチームヒーターが何らかの要因(水がかかった・スチームヒーター線の経年劣化等)で漏電を起こしている可能性が考えられます。
ウェルカー社ベーキングオーブンの「電気制御系統」は、導入時に独立して設定する「独立制御型式」を推奨しておりますが、 お客様によってはそうしていない場合もございますので、ご使用中の分電盤で確認をお願いします。
また、分電盤の設置場所もオーブンに内蔵されているタイプや、オーブンから離れた場所でオーブンだけの分電盤のタイプ、 あるいは、すべてのベーカリー機器と一緒になっているなど、お客様により様々です。
常日頃、分電盤の設置場所や種類を確認しておくとよいでしょう。

内蔵型「独立制御型式①」による端末ブレーカーは以下の通りで装備されています。
独立制御型式①/内訳
主電源(大元漏電ブレーカー)×1
1段目上火・1段目下火・1段目スチーム 各1
2段目上火・2段目下火・2段目スチーム 各1
3段目上火・3段目下火・3段目スチーム 各1
4段目上火・4段目下火・4段目スチーム 各1

このような「独立制御型式」を推奨しているのは、「単独でブレーカーをOFFにする」ことにより、 故障時の緊急対応で生産ラインを止めないようにするためと、生産効率を考慮しながら最小限での使用を可能とするためです。

「独立制御型式①」でご使用の方は、スチームヒーターが原因と考えられる故障に関し、以下記載の手順にて解決していきましょう。
【漏電しているスチームヒーターの特定】
  • 分電盤を開けて、すべてのブレーカー(大元ブレーカーを含む)を一度OFFにします。

  • 大元ブレーカーをONにします。

  • 端末ブレーカーを順番に一つずつONにしていきます。
    この時、漏電しているスチーム用端末ブレーカーを入れるとONにならず、大元ブレーカーが自然に落ちてしまいます。

  • 漏電スチーム用端末ブレーカーが判明したら、テープなどで目印をつけ、OFFにしてください。

【水漏れが原因によるスチームヒーターの漏電の場合】
オーブン下部やスチームヒーター配線周辺に水が滴った跡が確認できる場合、水漏れが原因であると考えられます。
まずは水漏れの原因を解明し、水漏れの修繕をおこなってください。

>>水漏れトラブルについてはこちら<<

水漏れの修繕が完了したら、それ以外の問題のない端末ブレーカーをすべてONにし、オーブンを再稼働させてご使用ください。

この時、漏電を起こしていた段はまだ 完全に水が乾ききっていないため、スチームは使用できません。ご注意ください。

水漏れ修繕後は、乾燥次第で翌日・翌々日には漏電が解消され、スチームの使用が可能となります。

水漏れの修繕をし、時間を置いて乾燥させたにもかかわらず同じ段のスチーム用ブレーカーが落ちてしまうのであれば、 スチームヒーター自体の経年劣化などが考えられるため、 >>至急弊社技術部へご連絡ください。

絶縁不良となっている段のスチームヒーターの点検・交換作業は、必ず電気技術免許をお持ちの方がおこなってください。

>>スチームヒーターの処置方法<<


独立制御型式②/内訳
電気オーブン独立制御型式 主電源(大元漏電ブレーカー)×1
1段目焼成室・1段目スチーム 各1
2段目焼成室・2段目スチーム 各1
3段目焼成室・3段目スチーム 各1
4段目焼成室・4段目スチーム 各1

「独立制御型式②」でご使用の方は、スチームヒーターが原因と考えられる故障に関しては、 「独立制御型式①」と同じ手順で漏電個所の特定・処置をおこなってください。

>>漏電個所の特定・処置はこちら<<


独立制御型式③/内訳
電気オーブン独立制御型式 主電源(大元漏電ブレーカー)×1
1段目(焼成室・スチーム) ×1
2段目(焼成室・スチーム) ×1
3段目(焼成室・スチーム) ×1
4段目(焼成室・スチーム) ×1

「独立制御型式③」でご使用の方は、スチームヒーターが原因と考えられる故障に関し、 以下の手順に従って確認していきましょう。
【漏電しているスチームヒーターの特定】
  • 分電盤を開けて、すべてのブレーカー(大元ブレーカーを含む)を一度OFFにします。

  • 大元ブレーカーをONにします。

  • 端末ブレーカーを順番に一つずつONにしていきます。
    この時、漏電しているスチーム用端末ブレーカーを入れるとONにならず、大元ブレーカーが自然に落ちてしまいます。
    ※この時点で漏電している段は判明しますが、ブレーカーが小分けにされていないため、 スチームヒーターが原因であるという確かな判別ができません。

  • 漏電している段のブレーカーにテープなどで目印をつけ、OFFにしてください。

【水漏れが原因によるスチームヒーターの漏電の場合】
オーブン下部やスチームヒーター配線周辺に水が滴った跡が確認できる場合、水漏れが原因であると考えられます。
まずは水漏れの原因を解明し、水漏れの修繕をおこなってください。

>>水漏れトラブルについてはこちら<<

水漏れの修繕が完了したら、それ以外の問題のない端末ブレーカーをすべてONにし、オーブンを再稼働させてご使用ください。

この時、漏電を起こしていた段はまだ 完全に水が乾ききっていないため、スチームは使用できません。ご注意ください。

水漏れ修繕後は、乾燥次第で翌日・翌々日には漏電が解消され、スチームの使用が可能となります。

水漏れの修繕をし、時間を置いて乾燥させたにもかかわらず同じ段のスチーム用ブレーカーが落ちてしまうのであれば、 スチームヒーター自体の経年劣化などが考えられるため、 >>至急弊社技術部へご連絡ください。

絶縁不良となっている段のスチームヒーターの点検・交換作業は、必ず電気技術免許をお持ちの方がおこなってください。


【スチームヒーターの処置方法】

始める前に・・・

★オーブンは200Vの高電圧で稼働しています。必ず電源を切ってからおこなってください。
★オーブンは稼働中の熱をかなり長い時間保持しています。作業を行う際は軍手などを使用し、ご自身の身を守ってください。
★点検・作業は電気技術免許をお持ちの方のみ、点検をおこなってください。
スチームヒーターの処置方法 オーブン下部のパネルを外し、【スチームパイプ】【パイプ銅管】などの主要部品を確認してください。
今回は【スチーム用電源/画像b】を点検する手順です。

※オーブン稼働終了時、【スチームパイプ銅管/画像a】等の部品は大変熱くなっています。ご注意ください。
スチームヒーターの処置方法 オーブン出荷時に、スチーム電源には対応している段番号を明記しています。
番号をもとに、ブレーカーが落ちてしまった段のスチーム電源を確認してください。

再度、オーブンの主電源が落ちているかを確認して、メガテスター(工具名)でメガ(Ω)測定をおこないます。
スチームヒーターの処置方法 ①スチームヒーター配線(画像・赤矢印)を外さずに、メガ(Ω)測定をおこない、数値を控えてください。
(測定箇所:画像内/オレンジ矢印4箇所)

②スチームヒーター配線を外して、ヒーターを個別にメガ(Ω)測定をおこない、数値を控えてください。
ヒーターは電気抵抗による発熱体です。
悪いヒーターは絶縁体の不良により、漏電を起こします。
通常、スチームヒーターの抵抗値は【10~50】ですが、この抵抗値が【1以下】であった場合、絶縁不良となります。
絶縁不良を起こしているスチームヒーター線を外してテーピングをおこない、ブレーカーをONにします。

この時、スチームヒーターの能力は半分になり、蒸気発生装置を温めるのに時間がかかりますので、ご注意ください。

全てのスチームヒーター線が絶縁不良を起こしている場合は交換が必要です。
部品のご提供を致しますので、 >>弊社技術部へご連絡ください。

スチームヒーターの処置方法 上記、スチームヒーターの処置をおこなったにもかかわらずブレーカーが落ちてしまう場合、 スチームヒーター線を組み込んでいるターミナル(画像参照)に原因がある可能性がございます。
その場合、ターミナルの点検をおこないましょう。

表面に異常が見られなくとも、配線を組み込んでいる端子部内部にサビが発生していることも考えられます。
全ての配線を外して、端子部の点検をおこなってください。
※配線を外す際は、必ず配線番号を明記しましょう。
スチームヒーターの処置方法 画像は経年劣化によるターミナル端子部の劣化状況です。
端子部のねじ部などは、ワイヤーブラシでサビや汚れを落としてください。
端子部だけでなく、ターミナル全体に劣化が出ている場合は、ターミナル自体を交換しましょう。

点検・交換が完了したら、配線を元の位置に組み込み、最後に端子部を必ず増し締めしてください。

2-2.スチームを出したと同時に、その段の電源が切れた(落ちた)

スチーム漏れにより、電球がショートしたと考えられます。
ホヤガラスのひび割れ・破損によりスチームが漏れ、電球に水分がかかるとショートしてしまいます。
ブレーカーが落ちる直前に、電球が「パチッ」と音を発し切れてしまうことも考えられるため、常日頃から点検を心がけましょう。

このような症状が出た場合、電球の交換、及び、ホヤガラスの点検が必要となります。

電球が切れてしまった場合は漏電している段はわかりますが、電球が切れずにブレーカーが落ちてしまうこともあります。
その場合は以下の手順に従い、漏電個所を特定・処置をおこないましょう。
漏電箇所の特定
  • 分電盤を開けて、すべてのブレーカー(大元ブレーカーを含む)を一度OFFにします。

  • 大元ブレーカーをONにします。

  • 端末ブレーカーを順番に一つずつONにしていきます。
    この時、漏電しているスチーム用端末ブレーカーを入れるとONにならず、大元ブレーカーが自然に落ちてしまいます。

    搭載されている分電盤の種類により、端末ブレーカーは様々です。
    前述の搭載機種を参考に確認しましょう。

    >>分電盤の種類についてはこちら<<

  • 漏電している段のブレーカーにテープなどで目印をつけ、OFFにしてください。

  • 問題のない端末ブレーカーはすべてONにして、オーブンの再稼働をさせてご使用ください。

  • オーブンをご使用の際は、 漏電を起こしている段は使用できませんので、ご注意ください。

電球・ホヤガラスの交換方法につきましては、【日常のお手入れ】にて解説しております。
そちらを参考に、おこなってください。

>>日常のお手入れについてはこちら<<

2-3.原因が全くわからず、ブレーカー上げてもすぐに落ちてしまい、復帰しない

様々な原因が考えられます。
例えば、配線内のショート、焼成ヒーターの劣化に伴う漏電など。

その他、昨今の地震の影響で頻繁に余震が起きていることも考慮し、これらの地震の振動により内部の端子が外れ、 本体に触れているケースも考えられます。

これらの不良個所が原因の漏電だった場合、修復は大変難しい作業となります。

原因がわからない、ブレーカーが復帰しない、本体に触った際ビリビリと感じた場合は、 >>至急弊社技術部へご連絡ください。


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