スチームのトラブル

1.スチームが全く出ない段がある

原因として考えられるのは、スチームパイプの穴詰まり、または、スチームパイプが劣化したことによるスチーム不良が考えられます。
ウェルカー社ベーキングオーブンの蒸気発生装置は各段とも独立して構成されていますので、 特定の段のみにスチームが出ないなどの症状が出た場合は、その段に付随するスチームパイプの不良が予測できます。
ただし、バルブヘッドの摩耗・損傷が原因でスチーム不良を起こすことも考えられますので、 普段からスチームパイプはこまめに点検・清掃をおこなうことをお勧めいたします。

【スチームパイプとは】
蒸気発生装置内にあるノズル付きのパイプです。
このパイプから水を噴出させ、良質で大量のスチームを発生させます。

始める前に・・・

★オーブンの主電源を必ず落としてください
★オーブン本体の給水元バルブを必ず閉めてください
★火傷やけがなどに注意して、必ず軍手(耐熱用)をはめて作業をおこなってください
★緊急の場合を除いて、スチームパイプの点検・清掃をおこなう場合は、できるだけオーブンの熱を冷ましてからおこなってください。
※ウェルカーオーブンは特に保温性に優れていますので、オーブンが少し冷めていてもスチームパイプには高温の水・スチームが溜まっていて大変危険です。

スチームパイプ 【まずはスチームパイプの位置を確認しましょう】
スチームパイプは通常、左から1・2・3・4段目という順番で並んでいます。
画像内、下側の同館はドレン(排水管)です。
ただし、必ずしも左からパイプが並んでいるとは限りません。
オーブン出荷時に、対応しているスチームパイプの段番号を明記しておりますので、 清掃や交換を行う際はこの番号を確認してからおこなってください。

※画像はウェルカー社ガスオーブンを参照しています
【作業時の注意】
★以下に記載の保護を怠ると水漏れによる二次故障が起こりえます

【ガスオーブンの場合】
バーナーに水がかからないよう、粉袋などでバーナー全体を覆ってください。

【電気オーブンの場合】
スチームヒーター配線に水がかからないよう、配線部やコネクター部を粉袋やビニール袋などで覆ってください。

スチームパイプの交換(点検)手順
スチームパイプ 【手順1】
給水側の銅管キャップを取り外します。
この時、銅管内の水が垂れてくるので、ボウルなどを用いて他の部品に水がかからないよう注意してください。

使用工具:モンキー
スチームパイプ 【手順2】
画像のように銅管キャップとスチームパイプを完全に引き離したら、次にスチームパイプを固定しているナット(M10/画像矢印1・2参照)を取り外します。

ナットを外す際はソケットレンチ(17mm)を使用すると便利です。

まれに、ナットが錆び付いて取り外せない場合があります。
その際は無理をせず、 >>弊社技術部へご連絡ください。
スチームパイプ 【手順3】
画像内・赤矢印のスチームパイプを引き抜きます。
この時、パイプ内のスチームが噴出することがあるので、充分注意してください。

尚、スチームパイプは仕様によってサイズが様々です。

【ガスオーブンの場合】
炉床のサイズにより、パイプの長さが変わります。

【電気オーブンの場合】
炉床のサイズにかかわらず、パイプの長さは同じです。
スチームパイプ 【手順4】
画像は引き抜いた直後のスチームパイプです。
表面にかなりのスケール(水垢)が付着しているのが見て取れます。
このような場合、内部にも錆・スケール(水垢)が付着しているものと思われます。

スチームパイプを引き抜いたら、接手部分の清掃をおこないます。

なお、年式により接手部分の仕様が変更されています。
以下画像を参考に、現在ご使用中の接手を確認してください。

【接手/チャッキ弁】

スチームパイプ
【接手/Y型ストレーナー】

スチームパイプ

接手の種類により、清掃方法が違います。
以下の手順に従って清掃をおこなってください。

【接手/チャッキ弁】の場合
スチームパイプ 【手順1】
チャッキ弁の場合、パイプからの逆流を防ぐ逆止弁の動きが硬くなります。
ラチェットレンチ(17mm)を用いて弁部分を取り外し、弁の動きを改善させます。
(画像は弁を取り外した状態です。)

次に、パイプ全体をハンマーなどで軽く叩き、錆・スケール(水垢)をパイプの内壁から剝がします。
スチームパイプの表面もきれいにしましょう。
スチームパイプ 【手順2】
チャッキ弁の弁部分から水を通し、剥がした錆・スケール(水垢)を洗い流します。
この作業を3~4回ほど繰り返してください。

スチームパイプ本体に開いているスチーム噴出用の穴詰まりも確認しましょう。
穴詰まりを起こしていたら、キリなどで穴を開けなおしてください。
穴が正常に開けば無図を通したときに勢いよく水が噴出します。
【ガスオーブンの場合】
スチームパイプ上部に、2.5mmの穴が等間隔に3箇所開いています。

【電気オーブンの場合】
スチームパイプ先端に、2.5mmの穴が1箇所開いています。

【接手/Y型ストレーナー】の場合
スチームパイプ 【手順1】
Y型ストレーナーの場合は、スチームパイプから外して清掃します。
パイプをパイレン(工具)で固定し、Y型ストレーナーをモンキー(工具)で画像・矢印a方向に回して外します。
最初は少し硬く感じますが、一度外れてしまえば後は簡単に回して外せます。
パイレンは画像・矢印b方向に軽く固定する形で押さえます。
スチームパイプ 【手順2】
画像はスチームパイプからY型ストレーナーを取り外した様子です。
パイプを軽く叩いただけで、かなりの量の水垢(画像・矢印)が出てきました。
ご使用中のパイプの長さにもよりますが、パイプ内に付着している錆・スケール(水垢)を落とすには、 パイプの隅から隅まで叩いて内壁から剥がしていきましょう。
スチームパイプの表面もきれいにしましょう。
スチームパイプ 【手順3】
Y型ストレーナーの用途は、給水元から水と一緒に流れてくる異物を食い止めるためのものです。
内部にはさほど水垢などは発生しないので、軽く水ですすぐ程度で大丈夫です。

画像のY型ストレーナー表面に付着している緑色は銅に発生する錆です。
この錆は人体に影響はありませんが、部品の劣化を早めるものなので、洗剤などを使用してなるべく落とすよう心がけましょう。
スチームパイプ 【手順4】
パイプ本体の内部に溜まっていた錆・スケール(水垢)を洗い流してください。
この作業を3~4回ほど繰り返してください。

スチームパイプ本体に開いているスチーム噴出用の穴詰まりも確認しましょう。
穴詰まりを起こしていたら、キリなどで穴を開けなおしてください。
穴が正常に開けば無図を通したときに勢いよく水が噴出します。
スチームパイプ 【手順5】
清掃が完了したら、Y型ストレーナーをパイプに取り付けていきます。

取り付ける前に、パイプ継ぎ込みねじ部分にシールテープ(画像参照)を反時計回りに5~6回巻き付けてください。
※もともとついていたシールテープはきれいに剝がしてください。

シールテープを貼り終えたらY型ストレーナーをきつめに取り付けましょう。
【ガスオーブンの場合】
スチームパイプ上部に、2.5mmの穴が等間隔に3箇所開いています。

【電気オーブンの場合】
スチームパイプ先端に、2.5mmの穴が1箇所開いています。
スチームパイプ 【手順6】
接手・パイプの清掃が完了したら、上記の逆手順でパイプをもとの位置に戻していきます。
この時必ず、パイプパッキン(画像・矢印)をスチームパイプフランジの裏側(画像参照)に取り付けてください。
※パッキンが劣化(白く硬化)している場合は交換しましょう。
スチームパイプ 【パイプ取り付け手順】
①接手を付けた状態からスチームパイプを蒸気発生装置内に戻します。

②銅管キャップとスチームパイプを合体させます。

③パイプ固定ナットでパイプを固定します。

④銅管キャップ(画像・矢印)を増し締めしてください。
※この銅管キャップをしっかり締めないと、水漏れや漏電の原因となります。
★パイプ自体の腐食がひどい場合(ひび割れや劣化による破損)は、スチームパイプの交換をお勧めします。

2.スチームバルブを開放しても水が流れる感覚がなく、スチームバルブがいつもより熱い

スチームパイプにスケールが溜まってしまったことによる不具合です。
パイプが詰まっているので給水元からスチーム用の水を流してもスケールがフタの役目をしてしまい、パイプに少量の水しか流れません。
水の流れが悪いので給水元からスチームパイプにつながっている配管の水は溜まっている状態になり、オーブンの予熱でだんだんと温まってきます。
その温水熱がスチームバルブまで伝わって、いつもより熱くなってしまいます。

この場合は前述のスチームパイプの清掃方法へ戻り、問題を解消しましょう。

>>スチームパイプの交換(点検)手順はこちら<<

3.スチームが出ない段の焼成室に蒸気(湿気)がこもっている

バルブヘッドの摩耗が原因と考えられます。
スチームバルブをしっかりと締めていても、バルブヘッドが摩耗しているせいで少量の水が流れている状態になります。
スチームパイプ内に一定の水が溜まってしまうと余分なスチームが発生し、焼成室内に流れ込みます。
このため、焼成室内が湿った状態になってしまうのです。

この場合はバルブヘッドの交換をおこない、問題を解決しましょう。

>>バルブヘッドの交換手順はこちら<<

4.スチームの復帰時間がいつもより長く、連続して使用できない

バルブヘッドにかなりの摩耗・損傷が発生していると考えられます。
バルブヘッドが損傷すると常に水が流れている状態となり、その水は蒸気発生装置内へと流れ込みます。
蒸気発生装置内が水で満杯状態になると、装置自体が冷えてしまいます。

ガスオーブンはバーナーの予熱で各段の蒸気発生装置を温めていますが、溜まった水のせいでバーナーの熱では温めが追い付かなくなります。
そのため、スチームを出そうとしても蒸気発生装置内に溜まった多量の水が邪魔をしてスチームの復帰に時間がかかり、 なおかつ連続して使用できない状態に陥ります。

この状態を放置すると、蒸気発生装置内にたまった水が逆流し焼成室内にあふれてきてしまいます。
このような状況になる前にこまめにバルブヘッドの点検を行い、交換が必要な場合は「バルブヘッドの交換手順」を参考に、問題を解決しましょう。

>>バルブヘッドの交換手順はこちら<<


【電気オーブンをご使用の皆様へ】
上記不具合を解消するためにバルブヘッドの交換をおこなったにもかかわらず状況が変わらない場合は、 スチームサーモスタット、または、スチーム用マグネットスイッチの動作不良が考えられます。
この場合は、スチーム用電装部品の点検をおこなってください。

>>スチームサーモスタットの点検方法はこちら<<


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